昨日は、弊社のミュージカル教室 「Elephant Eggs」 の開講日でした。
みゆ先生にとっても、アクティブラーニングやコーチングを取り入れたレッスンは初めての試みであり、事前に2人でレッスン内容を入念に練りました。今後は心理学や教育学をもとに、仮説を立て、実行し、検証する記事を、定期的に上げていきたいと思います。
他者尊重・自己尊重
まず初めに、この教室の最低限のルールについて話しました。これは、不登校生支援の場でも言ってるんですが、「人を傷つけることと、自分を傷つけること以外であれば何をやってもいい」ということ。もちろん、複数の子ども達が一緒に活動していくので、今後はルールがもっと増えていくかもしれません。しかし、それらのルールは子ども達が話し合って作っていくということを前提にしたいと私たちは考えています。
その上で、私たち大人側から提示する最低限のルールが、「人を傷つけることと、自分を傷つけること以外であれば何をやってもいい」というものです。
大人向きの言葉を使うと、「他者を尊重するように、自分を尊重し、自分を尊重するように、他者を尊重する」ということですね。
まずは他者尊重について。
人は、同じものを見ていても、そこから見えるもの、感じ取るものはそれぞれ違うということを、子ども達に体感してもらいます。
さまざまな状況をイメージしてもらって、「それいいね!やりたい!」と思ったら、頭の上で大きな◯を、「まぁ別にやってもいいよ」と思ったら、胸の前で親指を立ててもらいます。そして「嫌だなぁ。そういうの苦手だなぁ。」と思ったら、頭の上で大きな×を出してもらいます。
以下の状況を一つひとつ提示して、子ども達にそれぞれサインを出してもらい、友達との感じ方の違いを体感してもらいました。 ※1
・これから1ヶ月、毎日日記を書く。
・自分の思いや考え方を作文にして、学校で張り出してもらう。
・学校も幼稚園もお休みだとします。これから1週間、一歩も外に出ずに、家の中で過ごす。
・学校も幼稚園もお休みだとします。これから毎日、ディズニーランドで遊びまくる。
・近所に新しい遊園地ができて、そのアトラクションが話題になっています。でも内容はよくわかりません。もしかしたら怖いアトラクションかも。そのアトラクションに挑戦する。
子ども達の出したサインは、本当にバラバラだったのですが、印象的だったのは、感じ方が違うことに対する否定的な言葉(「え〜」とか「変だよ〜」とか)は、一切出てこなかったんですよね。もしかしたら、子どもの方が、大人より他者尊重がうまいのかもしれません。
改めて、「人と違う」ということを否定的に捉えないでほしいことを伝え、次は自分を尊重するということについて話しました。
「自分を尊重する」というのは、大人でもできてない人が多く、「自分なんて…」とか「私はバカだから…」といった自虐的な言葉を口にします。これ、主語を自分ではなく「あなた」に置き換えてみるとどうでしょうか。
「あなたなんて…」
「あなたはバカだから…」
とても暴力的な言葉になりますよね。だけど、みんな自分に対しては、酷いことを言ってしまうんですよね。実際、子ども達の中にも、何人かいました。当教室では、人に言ってはいけない言葉は、自分にも言っちゃダメなんだよということを、繰り返し伝えていこうと思っています。
コーチングスキルを使った人の話を聞くテクニック
次に、人の話を聞く練習をしようということになりました。学校では「人の話を聞きなさい」と教えられますが、「人の話を聞くテクニック」については教えてもらえません。人の話を聞くテクニックは、日常的なコミュニケーションだけでなく、演技をする上で非常に役立ちますし、何より、前述した他者尊重という意味でも、非常に重要です。
では、どんなことをしたかというと、まずは「人の話を聞かない練習」からすることにしました。
2人ペアになってもらって、AさんとBさんにわかれてもらいます。
まずAさんが、冬休みにあった楽しかった話をBさんにします。Bさんはそれをひたすら無視。何なら耳を塞いでもいいし、逃げ回っても構いません。
今度は立場を交代して同じことをやってもらいます。学校では、「人の話を聞かない練習」なんてしませんから、子ども達は大はしゃぎでした。そして、それぞれが、話を聞いてもらえなかった感想を共有します。
安全に人から拒絶される場を提供することで、子ども達は拒絶される側の立場・気持ちを理解します。
次に、「話は聞いてるけど、反応しない練習」をしました。Aさんが冬休みにあった楽しかった話をBさんにし、Bさんは完全に無反応。でも話は聞いてます。交代した後、お互いの感想を共有します。
ここで、子ども達は、相手の反応がないと、話す側も話しづらいことを学習します。
そして、いよいよ話を聞く練習です。
相手の顔を見ながら、(今回は楽しい話をしてるので)笑顔でうなずきながら聞いてもらいます。上級者は「へぇ〜!」とか「そうなんだ!」とか、ポジティブなリアクションを挟み、ジェスチャーを加えながら話を聞いてみましょうと話しました。何なら質問もどんどんしてみていいよと。
これが、やってみると、本当に子ども達は上手にできるんですよね。私もみゆ先生も「素晴らしい!」と大感激でした。この後は、みゆ先生の話を聞くときの姿勢やリアクションも大きく変わり、みゆ先生自身も気持ちよくレッスンができ、それが相乗効果となって、また子ども達の楽しさを倍増させているようでした。 ※2
『学び合い』を使って楽譜を読む
そして、ここから歌唱指導です。
発声練習の後、楽譜を配ったのですが、当教室は年長さん(4月から1年生)も何人かいて、その子達は、楽譜はもちろん、歌詞も読めるかどうかも難しい状況です。
そこで何と!こちらからは何も言ってないのに、子ども達同士で、楽譜の読み方を教え合うという状況が発生しました。
もともと、当教室では、プログラムに『学び合い』※3 を取り入れるつもりでしたが、それはもっと、生徒同士の関係性ができた後や、学び合うことの重要性を語った後にするつもりでした。
ところが、上級生が、カラーペンを使って年長さんにもわかりやすく、楽譜に読み方を書き込んでいってくれたんですね。レッスンの最後には、年長さんも、繰り返し記号やフェルマータの意味を、何となくですが理解しているようでした。
この状況を見て、私もみゆ先生も、目を見合わせて感動しました。これができるなら、歌を覚えることや、発声練習にも『学び合い』を取り入れることができそうです。
次回からはもっと本格的に、『学び合い』を取り入れていこうと思います。
テーマは「2021年3月の本番で、一人ひとりが輝ける舞台を作り、大人達を感動させること」。そのために、私たち大人は、安全に失敗できる場を作り、子ども達にはたくさんの試行錯誤をしてもらおうと思います。
※1 PCMの性格分析をもとにしています。
※2 平本式コーチングメソッドを応用しています。
※3 「一人も見捨てない」、「全員が課題を達成する」を第一に、子ども同士で教え合い、学び合い、自発的に学習していく授業スタイルです。上越教育大学の西川純教授が提唱し、21世紀型スキルやアクティブラーニングが求められる教育現場で、急速に広まりつつあります。
<著者プロフィール>
眞蔵 修平(まくらしゅうへい)
代表取締役CEO・元数学教師/教育問題漫画家・自己変革支援コーチ
立命館大学理工学部卒業後、公立中学校に赴任。教育現場の劣悪な環境に違和感を感じ、外側から教育現場を変える様々な活動に参画。2017年Lennon’s Loupeを立ちあげる。同時に、様々な教育系企業と関わりながら、自身の創作活動やコーチングスキルを教育現場と結びつける活動を開始。多様性を認め、誰も苦しまなくていい環境、誰もがのびのびと生きていける環境を、教育現場を超えて提案していきたい。詳細はコチラ。
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教育に特化したミュージカル教室「Elephant Eggs」を運営しています。教育関係者を巻き込み、アクティブラーニング、『学び合い』、アドラー心理学、経験学習理論、コーチングといった、様々な教育理論をもとにしたプログラムをご用意しています。詳細はコチラ。
元教師が描く、教育現場のリアル!!『静寂の音』第1話無料公開中です。
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